「SV プロジェクトシステム紹介」
2020 年 7 月 17 日発行の TAAJNewsLetter 第 118 号でもご案内させて頂いた TAAJ の新たな研修体制の一つ、オンラインによる「TAスーパービジョン」のご紹介です。
スーパービジョン(SV)とは
TA を使って他者の成長や変化、サポートをする役割を持つ立場の人達にとって、それぞれの現場でクライアント、受講者(以下、CL と表示)と接するときに、自分自身の内面で起こっている心理的な動きや反応に気づくことは CL をサポートするうえでとても重要です。
サポートや支援を試みる中で気づくことが難しい自分自身の内面的な動きを、ITAA が推奨する基準を満たすために訓練を重ねた有資格者(スーパーバイザー)によって、図式化・言語化するセッション(ワーク)がスーパービジョンです。自分自身が持つ専門性を高める生涯学習の場として必須とされています。
*国際 TA 協会の CTA 資格取得の必須として、トレイニーは、口頭試験受験までに 150 時間の SV を有資格者から受けることが条件の一つです。(ITAA Handbook 7.2.2)
**TSTA(Teaching and Supervising Transactional Analyst)並びに、PTSTA(Teaching and Supervising Transactional Analyst)は、ティーチングとスーパーバイジングの実践トレーニングを重ね、試験に合格した有資格者、准資格者に与えられるタイトルです。
対象者:TAAJ 会員のみ
人の成長や変化、サポートを支援する役割を持つ方。
例えば、セラピスト、カウンセラー、研修講師、教育関係者、医療関係者、コンサルタント、中間管理職、コールセンターのスーパーバイザー他。
SV セッションの進め方
SV セッションは、コントラクティング(定められた時間内で手に入れたい成果を明確にすること)からスタートします。最後に手に入ったかどうかの確認し終了します。
現場での CL との関係性の中で体験した違和感や繰り返す嫌なやりとり(ゲーム)、原因がわからずにモヤモヤとした気持ちなどで業務に支障をきたしたり、モチベーションが落ちていると感じたとき、腑に落ちない出来事などで困っているときに、それらの解決の糸口を見つけるのが SV です。自分にとっては些細なことでも、セッションを受けることを推奨します。
普段からそれら内容をメモ等に書いておき、SV をうけることをおススメします。
* SV セッションの最初に、グランドルールとして SV を受けられる方(スーパーバイジー)とスーパーバイザーが安心且つ、安全にセッションを進められるように「守秘義務」を含め同意事項を相互に確認して開始します。
* ITAA のトレーニングを受けた TAAJ のスーバーバイザーは、全員 ITAA「倫理綱領」の内容を理解し、厳守するトレーニング重ね、実践しています。
期待効果
今まで自分自身では気づいていなかった点が明確になったり、問題解決へとつながる情報が手に入ります。自分自身あるいは、自身の専門性にさらなる確信を持つことができるでしょう。
最終的に手に入る成果は、やり方が明確になったり、自分の脚本やストローク不足に気づいたり、さらなる発展を求めている自分自身に気づいたり、SV セッションに持ち込まれた課題(コントラクト)によって異なります。
SV で起こる自分自身の発見や成長が、現場の CL にダイレクトに利益をもたらします。
「SV の最終受益者は CL である」は、SV の大きなゴールの一つです。
*TA には、4 つの分野があります(臨床、教育、組織、カウンセリング)。
スーパーバイザーは、どの分野の SV も行うことは可能です。
TAAJ スーパービジョンシステムでは、臨床、教育と二つの専門分野のスーパーバイザーが在籍しているので、自身の専門分野、あるいは異なる分野のスーパーバイザーからの SV を受けることができます。自分に合ったスーパーバイザーと出会ったり、選択できるのも魅力の一つです。
**広く会員の皆様に SV を体験して頂きたいので、同じスーパーバイザーから最大 5回までのセッション受講の上限を設けています。ただし、その後の継続 SV に関しては、当事者間での話し合いで TAAJ スーパービジョンシステム外での契約をすることも可能です。
SV はどんなペースで受けるのか?
毎月、あるいは 2 カ月に一度など、定期的、継続的に SV セッションを受けることを推奨します。
*各スーパーバイザーも、定期的且つ、継続的に自分自身も SV を受けて、自分の活動を振り返り、それぞれの専門性を常にアップデートしています。
Q/A
Q1: 私は保健師です。先日 TA101 を受けたばかりですが、SV を受けることはできますか?
A: はい、大丈夫です。
もしTA の用語や概念がわからなければ、それも、スーパービジョンの中で遠慮なくスーパーバイザーにお尋ねください。
Q2: TA101 は受講した経験がありませんが、交流分析は長く勉強しています。SV を受けることはできますか?
A: はい、受けていただけます。
TAのSVはTAの概念を共通言語としますので、TAをある程度理解していた方がよいですが、TA101を受講していなければSVを受けられないということはありません。また、Q1でもお答えしたように、不明な点は、遠慮なく質問してご確認ください。
Q3: Supervisor(スーパーバイザー) の選び方は、どうしたらよいでしょうか?
A: オンラインスーパービジョンのページに掲載している「スーパーバイザー紹介」をご覧ください。
それぞれのスーパーバイザーの自己紹介から、分野、経歴、活動等の情報を参考にして選んでください。ご自身と共通点が多い、あるいは少ないスーパーバイザーを選択するという手もあります。
Q4: 企業の総務でハラスメント対策室にいます。守秘義務のある内容はどのような形でSV していただけますか?
A: スーパーバイザーは当然にSVで知った内容について守秘義務があります。具体的にはITAA のトレーニングを受けた TAAJ のスーバーバイザーは、全員 ITAA「倫理綱領」を遵守して、トレーニングを重ね実践しています。個別の事柄で不安なことあればいつでも「守秘義務」についてスーパーバイザーと確認してSVを進めることが可能です。
ITAA「倫理綱領」 : https://itaaworld.org/ethics-and-professional-practices
Q5: TA 以外でもさまざまな心理療法やカウンセリング技法を学んできました。他の領域の SV と TA の先生方が行う SV とは何が違いますか?
A: 最大の違いは、Q2でお答えしたように、TAのSVはTAの哲学に基づき、TAの諸概念・諸理論を共通言語として行われ、ITAA「倫理綱領」を遵守して行ないます。TAという切り口でケースを考える体験はTAのSVによってのみ得られるものです。心理療法・カウンセリングの理論は多数あり、理論ごとに同じ概念を違う言葉で表現していることも沢山あります。まずは、ご自身の体験からその違いや共通項を見い出し、ご自身の要求や要望に見合う 『SV のスタイル』を見つけていただくのが最も良いかと思います。
Q6:1 回やって、次は別の人にお願いするのは少し気が引けますが、かまいませんか?
A: はい、 全く問題ありません。 SV を受ける方の要求・要望やバックグラウンドが異なるように、各スーパーバイザーの SVのやり方・考え方やバックグラウンドも異なりますので、このTAAJ スーパービジョンシステムが、ご自身にぴったりくるスーパーバイザーに出会える場となることを願っています。