TAの哲学的前提は,次の3点に要約される。
1.人はだれでもOKである。
2.だれもが考える能力をもつ。
3.人は自分の運命を決め,そしてその決定は変えることができる。
人はだれでもOKである
TAのもっとも基本的な前提は,人はだれでもOKであるということで,それが意味するのは,あなたも私も共に人間として価値があり,重要で,尊厳があるということである。私は自分を自分として,あなたをあなたとして受け入れる。これは行動というより存在そのものについての声明である。あなたのすることを,私が好きではなかったり,受け入れないことが時々あるかもしれない。しかし私は常に,(あなたが)あなたであることを受け入れる。あなたの行動がOKでないとしても,あなたの人間としての存在は,私にとってOKなのである(深沢道子監訳 「TA TODAY」 実務教育出版 1991 p.8より引用)。
だれもが考える能力をもつ
重症の脳障害者以外は,だれもが考える能力をもつ。したがって人生に何を望むかを決める責任は,私たち自身にある。だれもが最終的には自分で決めたように生きるのである(「TA TODAY」p.9より引用)。
決断モデル
人は自分自身の行動と思考,感情そして最終的には自己の運命を決定している。身体的に迫害を受けた場合を除いて,誰も他人や環境によって特定の行動をさせられたり,考えさせられたり,感じさせられたりすることはない(杉村省吾訳 「交流分析のカウンセリング」 川島書店 1995 p.3より引用)。たとえ幼い子供の頃でも,両親は私たちを,ある特定な一つの方向に発達させることはできなかった。確かに彼らは私たちに,ものすごいプレッシャーをかけることはできた。しかしそれらのプレッシャーに従うのか,反発するのか,無視するのかの決断をしたのは,私たち自身である(「TA TODAY」p.9より引用)。私たちは大人になってからも,敵意に満ちたように見えた世界から欲しいものを得て生きのびるために決断した幼児期の戦略を,時々繰り返す。しかしその戦略が不満足な結果をもたらすものである時,私たちはその古いパターンを新しい行動・思考・感情のパターンに変えることを決断できる。人間は新たな決断により変わることができ,この変化は本物で永続的なものである。