7.1  はじめに

7.1.1  CTA 試験と専門領域

試験は2 つのパートからなる:

(1)筆記試験が最初に提出される。

(2)いったん筆記試験に合格すると,口頭試験を受けることができる

口頭試験が受けられるのは

  • 早くても筆記試験を提出した後少なくとも9か月後であり
  • 筆記試験に合格したあとから3年を超えない間まである

筆記試験にいったん合格すれば,この「筆記合格」という地位は,受験者が次の口頭試験で合格しなかったとしても保持される。必要なら,受験者は試験のいずれかのパ-トを何回か受験してもよい。口頭試験に合格しなかった受験者が,すぐに同じ試験会場で再受験することは認められない。

専門領域の選択はトレーニング契約をするときに設定される。CTA 受験者は,最初に申告した領域で受験しなければならない。試験期間中は,試験委員も受験者も,受験者の専門領域を変更してはならない。試験の目的は,受験者が申告した専門領域でTA を使うにあたり,その領域での中核能力に基づいて,高い能力レベルを有していることを担保することである。中核能力については,第5節で述べられている。

7.1.2  認定

CTA (Certified Transactional Analyst)との認定試験は,IBOC が主催する。PTSTA とTSTAが試験官を務める。試験監督者の指示の下であれば,CTAも試験官を務めることができる。

筆記試験と口頭試験の両方に合格すると,その受験者はCTA という名称,あるいは国内組織によって適切とされた名称を使うことが認められる。そして,自分の専門領域における能力を証明する認定証を受けとる。

7.1.3  受験料の支払い

CTA 筆記試験にあたっては,次の2 種類の料金がある(IBOCの料金表(の資料)かホームページ<www.itaaworld.org/contract>と受験料を参照)。

(1)筆記試験登録料金(recording fee)

(2)試験採点者への料金(examination assessor’s fee)

ウェブサイト上でこれらを支払う。

CTA 口頭試験用の料金は,口頭試験の受験申込書を送る時に支払わなければならない。

7.1.4  筆記試験の翻訳

CTA筆記試験は,例外的な場合を除き,CTA試験に必要な全ての書類は英語で書かれていなければならない。英語以外の言語で書く場合は,全ての書類に翻訳を添付しなければならず,その場合は,原版と翻訳版を同じ部数ずつ準備しなければならない。試験官と通訳者がテ-プを聞きながら,2 つの言語で書かれた文章を同時に見ることができるようにしておかなければならないので,録音の翻訳は同じページの原文の横に記載すべきである。第9節8の,通訳つきの口頭試験のためのガイドラインを参照のこと。

7.2 CTA試験の受験資格

7.2.1 CTA試験を受けるための個人の準備性

CTA試験と認定までのトレーニング・プロセスの中で,受験者は,自分の専門領域での中核能力を獲得していることが期待される。4つの専門領域で求められる中核能力に関しては,第5節に示されている。

受験者は,以下のものを示さなければならない。

  • クライエントと(求められる作業に)取り組む効果的関係が確立されていること
  • 問題の明確化と診断
  • 治療や処遇の目標あるいは変化のための計画を定義すること
  • 契約の確立
  • クライエントと歩む過程とその影響に対する適切な内省
  • 関連するTAの領域に照らして,目的と状況に即した適切な計画構築
  • 上記の実践的適用
  • 実践家として(限界に気付きながらも)自分の遂行能力(performance)に自信を持っていること。

7.2.2  必須要件の概略

CTA受験者は次の要件を満たさなければならない。

  • TA101の修了認定。それはコースの参加でも,試験を受けるのでも良い。
  • 口頭試験日より少なくとも1年前にIBOCまたはEATAに認められた,現在有効のトレーニング契約
  • 受験者の選んだ専門領域で資格認定を受けるための,当該専門領域に関する国内必須要件を満たしていること
  • スーパーバイザーから準備が整ったと推薦されていること
  • 以下の項目からなる最低2,000時間の要件を満たしていること
    • クライエントと直接的に関わった750時間。その内,TAによるものが500時間なければならない。
    • 600時間の専門トレーニング。その内,TAによるものは300時間なければならない。
    • 150時間のスーパービジョン。その内,75時間はEATA/ITAA/FTAAのメンバーであるPTSTAかTSTAによるものでなければならない。さらにその内,40時間は自分のスーパーバイザーからのものでなければならない。
    • 500時間のさらなる専門家としての成長に資する時間(国内で求められる要件に沿ったもので,自分のスーパーバイザーに指定されたもの)。

受験者の選んだ専門領域におけるトレーニングと実務経験の時間数は,規定があり標準化されている。その目的は,受験者の幅広い実務経験と包括的な理論的知識を保証するためである。専門領域の実務経験やトレーニングを受けた経験は,TAトレーニング以前のものでも,トレーニング中のものでも,上記のカテゴリーの適切なところにカウントすることができる。

会議(大会)への参加は正式な専門トレーニングとはみなされないが,専門家としてのさらなる成長のための時間としてカウントすることができる。

7.2.3 必要要件の詳細

7.2.3.1  TA101の修了

TA101の修了については,ハンドブックの第4節を参照のこと。

7.2.3.2 トレーニング契約

受験者は,現在有効なCTAトレーニング契約を有していなければならず,そしてその契約は少なくとも18か月前にIBOCに登録されていなければならない。

7.2.3.3  クライエントと直接かかわった時間

受験者が,個別のクライエント/あるいはグループと関わった時間は,少なくとも750時間なければならない。そのうち500時間は,TAをモデルとして使われていなければならない。規定の750時間において受験者は,実務者あるいはリーダーあるいはトレーナーとして主たる責任者であること。この実務時間の内,グループでの実務時間が最低50時間なければならず,個別のクライエントとの実務時間も最低50時間なければならない。

専門領域がサイコセラピーとカウンセリングの領域であれば,クライエントと直接かかわった時間は,個人,カップル,家族,グループ,そしてマラソンセラピーがあり得る。受験者は幅広い仕事の経験を持っていなければならない。

いずれの専門領域においても,口頭試験で使用する3つの録音素材の内の1つは,受験者がグループ形式でおこなった実践でなければならない。カウンセリング領域とサイコセラピー領域の受験者は,個人面接の録音を少なくとも1つ提出すべきである。それによって,受験者が効果的な方法でグループダイナミクスを促進していること,グループ・プロセスを理解するのにTAを活用していることをはっきりと示すことになる。試験の目的から,グループとは2人以上のメンバーで構成されているものと定義する。

IBOCは,CTA試験のためのグループの録音で求められる要件に関しては柔軟性が必要であると認識してきた。グループを録音することの許可を得ることが,特にサイコセラピーやカウンセリングの領域においては難しい場合がある。そのため,グループのテープは,個人あるいはスタッフのための成長グループ,あるいはトレーニンググループ,あるいは体験グループの録音でもよい。

7.2.3.4 専門的トレーニング時間

受験者は,専門領域のトレーニングを少なくとも600時間以上受けていなければならない。その内,少なくとも300時間は,TSTAかPTSTAによるTAに特化したトレーニングでなければならない。専門家のトレーニングには理論的知識が含まれ,TAを応用するデモンストレーション,実践的トレーニング,講義や討論から構成されうる。

7.2.3.5 スーパービジョンの時間

受験者はトレーニング期間中,少なくとも150時間のスーパービジョンを受けなければならない。

そのうち75時間は,PTSTAあるいはTSTAによるスーパービジョンで,さらにその内少なくとも40時間は受験者のスーパーバイザーによるものでなければならない。75時間のTA以外のスーパービジョンについては,受験者は他のアプローチを使ったスーパービジョンを数に含めて良く,それはTAトレーニング以前のものでもトレーニング中のものでも良い。

A) どのようなものがスーパービジョンとしてカウントされるか?

スーパーバイザーとの時間の中で,トレイニーがスーパービジョンを求めて積極的に自分の実務を提示した場合,そのような1時間はいかなるものも,1時間のスーパービジョンとしてカウントすることができる。トレイニーは,他のトレイニーのスーパービジョンの間に出席しているものの,自分自身では実務を提示していなければ,たいていそれはスーパービジョンの時間にカウントされない。

しかし,2人あるいは3人が一緒にグループでスーパービジョンを受け,かつそれぞれのトレイニーが自分の仕事について発表した場合には,各人は,スーパーバイザーと行ったスーパービジョンの時間をすべてカウントしてよい。

例えば,3人が3時間スーパービジョンを受け,なおかつそれぞれが自分の仕事について発表を行った場合には,各人はその3時間全てをスーパービジョンの時間としてカウントして良い。

4人以上のグループの場合,有意義な発表を行った各トレイニーは,スーパービジョンの認定(credit)を要求できる。めいめいの発表に対して1時間のスーパービジョンの認定を受けることができる。グループのメンバーは,各自発表をしていない時間を,専門家としての成長のための上級TAトレーニングの時間として認めることができる。ただし,認められるスーパービジョンの全時間数は,スーパービジョンのセッションの中で過ごした時間を超えてはならない。

例えば,3時間のスーパービジョンを5人のトレイニーが受け,そのうち3人が1時間ずつスーパービジョンを求めて実務の発表をした場合,発表者となった者は,それぞれ1時間のスーパービジョン時間と2時間の上級TAトレーニング時間として認められる。同席はしているが発表を行っていない残り2人のトレイニーは,3時間の上級TAトレーニング/専門家としての成長のための時間としてカウントして良い。

B) スーパービジョンで推奨されること

トレイニーがTAを自分の仕事で応用し始めたなら,TSTAあるいはPTSTAによるTAスーパービジョンを定期的に受けるようにしなければならない。スーパービジョンではケース一つ一つが1回だけ単発に報告されることもあるが,トレイニーは長期間にわたって定期的に,特定の個人のクライエントまたは特定のグループについて発表することが推奨される。そうすることでトレイニーは専門領域における自分の実務に関する探索,進展,問題,結果をスーパーバイザーに対して示すことができる。もう一つのスーパービジョンの大切な要素は,相互フィードバック,直面化,ディスカッションである。これらは,スーパーバイザーとトレイニーの間でも,グループの中でも交わされる。

  1. スーパービジョンは,トレイニーの実務をその場で見るライブスーパービジョンもあり得る。トレイニーが行っているTAの応用を直に観察するこのスーパービジョンの際には,トレイニーがスーパーバイザーのアシスタントとして働いていることも含めて良い。この直接的な観察の場合,スーパービジョンとして認められるためには,終わった後にスーパービジョンとしての討議の時間を取らなくてはならない。そのような場合においては,スーパーバイザーと受験者が,どのぐらいの時間がスーパービジョンとして認められる時間なのかを決定する。
  2. スーパービジョンは,口頭での事例発表に基づくが,トレイニーのワークの音声録音とビデオ録画の両方,あるいはどちらかを用いて良い。

時として遠距離のスーパービジョンの場合,音声録音,ビデオ録画,電話,スカイプのような音声IPサービス,あるいはeメールを使って行われることもある。

7.2.3.6 さらなる専門家としての成長の時間

受験者は,さらなる専門家としての成長の時間を最低500時間完遂しなければならない。これらの内容は,地域や国内の組織で決定されるものである。それらの組織は,この責任をスーパーバイザーに委ねることもある。例えば,付加的トレーニング,スーパービジョン,個人セラピー,精神科での現場実習などが含まれうる。

7.2.3.7  個人的セラピーおよび/あるいは,個人の継続的成長

個人セラピーや個人の成長の時間数については,特段の規定はない。IBOCでは,トレイニーがトレーニング期間中,個人セラピーを受けることを勧める。そうすることでTAの応用を経験し,トレイニーが,広義で言う脚本から自由な立場から,有害な行動に出ることなく,TAを応用できることを保証できる。これは試験における,認定基準の一つである。

受験者とスーパーバイザーは,この個人セラピーがその地域または国の基準に沿ったものであることを調べる必要がある。

73 受験のための日程

731  CTA受験のための推奨されるスケジュール作り

・まず,受験者とスーパーバイザーは,受験者が受験の準備が整っていることについて同意する必要がある。スーパーバイザーは,試験に受験者を快く推挙する前に,特定の要件を課しても良い。両者で口頭試験の開催地と日程をまず選び,そこから逆算して準備することが推奨される。試験開催地と日程については,ITAA のThe Scriptに掲載されるし,IBOC のwebsite にも載っている。

  • 口頭試験の日程を選定する18か月前には,CTA契約がなされ,IBOCに承認されておく必要がある。
  • 選んだ口頭試験日の約18か月前には,受験者は筆記試験を書き始めるべきである。
  • 口頭試験準備では,受験者は少なくとも1回は模擬試験を経験することが強く勧められる。
  • 選んだ口頭試験日の丸6か月以上前には,受験者は電子形態(望ましくはPDFファイル)で筆記試験をIBOC事務局 (e-mail: iboc@itaaworld.org)へ提出しなければならない。同日までに,IBOC事務局は,CTA筆記試験に関するスーパーバイザーの完全な推薦状(12.7.1),料金の支払いを証明するもの,CTA筆記試験受験者の提出届(12.7.2)も,メールかスキャンされたファイルを電子手段によって受け取っていなければいけない。一旦これらすべての書類が受領されると,IBOC事務局は筆記試験とスーパーバイザーからの推薦状を適切な地域の試験コーディネーターへ転送する(第8節6.4。3を参照のこと)。
  • 選んだ口頭試験日のまる3か月前に,受験者は,CTA口頭試験受験に関するスーパーバイザーの承認書(12.7.3) とCTA口頭試験受験申込書(12.7.4)を,IBOC事務局へ送って口頭試験への登録をしなければいけない。もし受験者が何らかの規定変更を認められているならば,またはスーパーバイザーを変更したり,契約を変更しているならば,これらの変更に関しての詳細を,CTA口頭試験受験に関するスーパーバイザーの承認書の裏面に記載し,変更が認められた日付またはIBOCに通知した日付も付記しなければならない。受験者が試験に通訳者を同行する場合には,IBOC事務局に前もって通知しなければならない。
  • 受験者は,予定している口頭試験日の遅くとも3か月前には,自分の筆記試験の評定結果を受け取っているのが通例である。もし受験者が筆記試験を正しい時点で提出しているならば,3か月たって試験官の評価を受けとっていなくてもIBOC事務局宛に申込書とスーパーバイザーの承認書を提出してもよい。後に試験結果が分かった時点で(合格という結果の場合),IBOC事務局は,筆記試験に関する詳細情報を入力する。
  • 口頭試験をとりやめたい受験者は,IBOC事務局に書面でその決断を通知しなければならない。少なくとも口頭試験日の2か月以上前に受験をとりやめた者には,料金は後の受験機会に振り替え扱いすることができる。口頭試験日の2か月前を切って受験をとりやめた者は,料金の振り替え及び払い戻しなどはできない(IBOC & ITAA の料金に係るスケジュール参照)。

732 日程と書類に関するまとめ

18か月前:CTAトレーニング契約がなされ,IBOCによって承認されていれば,受験者は口頭試験をどこで受けるか決定し,筆記試験の準備を開始する

12か月前:受験者は,筆記試験提出の意思があることを地域のIBOC試験コーディネーターに知らせる。

6か月前:受験者はCTA 筆記試験登録料金をIBOC事務局に支払う。

受験者はIBOC事務局に次のものを送る:

  • 電子形式で保存された筆記試験
  • 筆記試験受験に関するスーパーバイザーの承認書
  • 受験者の筆記試験提出書

3か月前:受験者は筆記試験評定結果を受けとる。

3か月前:受験者はIBOC事務局に以下のものを送って口頭試験への登録をする:

CTA口頭試験に関するスーパーバイザーの承認書(12.7.3)

CTA口頭試験受験申込書(12.7.4)

口頭試験受験料金

2か月前:IBOCから受験者に,受理された書類一覧の通知(12.7.5)が送られる。この地点が,受験者が受験料を無駄にせずに口頭試験をとりやめることのできる最後の地点である。

受験者は,提出した関連文書類の全てをコピーして保存しておくことが勧められる。

74 CTA 受験関係文書(CTA documentation

CTA 筆記試験に関するスーパーバイザーの承認書(12.7.1) (Supervisor’s Endorsement of the CTA Written Examination)

CTA 受験者の筆記試験提出書(12.7.2) (Candidate’s Submission of the CTA Written Examination)

CTA 口頭試験受験者に関するスーパーバイザーの承認書(12.7.3) (Supervisor’s Endorsement of the Candidate for CTA Oral Examination)

CTA 口頭試験受験申込書(12.7.4) (Application for the CTA Oral Examination)

CTA 口頭試験受験申込書類受理の通知(12.7.5) (Acknowledgement of Item Received for CTA Oral Examination)

CTA 筆記試験の評価者宛の手紙(12.7.6) (Letter to Assessor of the CTA Written Examination)

筆記試験採点尺度(12.7.7) (Written Examination Scoring Scale)

CTA 筆記試験評定結果添付の手紙(合格用,合格見送り用) (12.7.8,a,b) (Letter sent with Assessment(s) of CTA Written Examination)

CTA-カウンセリング 口頭試験用採点用紙 (12.7.9) (Oral Examination CTA Counselling Scoring Sheet)

CTA-教育 口頭試験用採点用紙 (12.7.10) (Oral Examination CTA Education Scoring Sheet)

CTA-組織 口頭試験用採点用紙 (12.7.11) (Oral Examination CTA organizational Scoring Sheet)

CTA-サイコセラピー 口頭試験用採点用紙(12.7.12) (Oral Examination CTA Psychotherapy Scoring Sheet)

試験官を評価する評価用紙(12.7.13) (Examiner Evaluation Form)

試験統括者の報告書(12.7.14) (Examination Supervisor’s Report)