1.1         ようこそTAの世界へ
1.2         職能標準策定部門(PSD)の紹介
1.3         謝辞
1.4         用語の説明
1.5         4つの領域
1.6         契約の詳細

1.1     ようこそTAの世界へ

Transactional Analysis(TA)は,1950年代後半にエリック・バーン博士(1910-1970)によって創始された人格理論であり,社会的行動の理論であり,サイコセラピーの包括的システムである。TAの魅力的な特徴の一つは,サイコセラピー,カウンセリング,教育,組織の発展,コーチング,スーパービジョン,コンサルテーション,管理者トレーニングなど多様な分野で適応できることにある。他方,transactional analysisと小文字で記す用語は,科学とか歴史のような一般用語である。

1.2     職能標準策定部門(PSD)の紹介

職能標準策定部門(PSD)は,2013年に創設された。その目的は,トレーニングと資格認定をITAAに再び統合するためである。PSDは,国際資格認定組織(IBOC)と職能標準策定委員会(PSC)から構成される。IBOCは,CTAとTSTAトレーニングと試験,トレーニング承認ワークショップ(TEW)を管理する。PSCは,トレーニングと資格に関する標準を設定し,専門家の実践と倫理的事項を監督する。

2013年にはまた,ITAAとEATAにより,世界TA標準策定審議会(TAWCS)も創設された。これは,世界じゅうで行われるTAのトレーニングと資格認定を標準化させる目的を持っている。

1.3     謝辞

TAのトレイナーとトレイニーの課題達成を促進するためにトレーニング・ハンドブックを作るというアイディアは,かなり以前,ウィリアム&マーティ・ホロウェイにより提案され,1977年にはマージ・レディントンにより完成された。それ以来,このハンドブックは,幾度もの変更と改訂がなされて現在に至っている。大きな2017年から2018年の改定は,EATAのハンドブックを倣って作られた。このハンドブックは,実質的な変更があったときに,必要に応じて定期的に更新され,PSCニューズレター(更新版)とITAAのニューズレター「スクリプト」誌の中で発表される。最新の2018年1月版では,第3節が完全に書き換えられ,さらに第7節,第8節,第11節とそれに係る書式において,実質的な変更がある。

1.4     用語の説明

(使われている略語に関する完全なリストは,0節参照)

TA101は,TA理論とその応用に関する公式の入門コースである。有資格TAアナリスト(CTA)になるべくトレーニングを受けようとする人は,この受講が必須条件となる。CTAには,筆記と口頭試験がある。CTAになって1年以上経過し,TAを用いて教え,スーパービジョンをすることに興味があるCTAは,TEW(トレーニング承認ワークショップ)に参加しようとするだろう(詳細は10.2参照)。TEWを終え,トレーニング契約をしてよいと公式に承認された者は,PTSTA(准教授・スーパーヴァイザー級TAアナリスト)と名乗るようになる。TSTA(教授・スーパーヴァイザー級TAアナリスト)への更なる訓練と試験を終えて,PTSTAは,TSTAとして承認される。人によっては,TTA(教授TAアナリスト)のみあるいはSTA(スーパーヴァイザー級TAアナリスト)のみとして承認されることを選択することもある。

いずれも,トレーニングのプロセスを通して,そして承認された後も,個々人は,ITAAの会員でなければならない。

ITAAは,学会誌TAジャーナル(TAJ)を管理する,これはRoutledge出版社(2018年1月に出版元変更)から発行される。TAJの前身は,1970年に始まったTA紀要(TAB)である。ITAAはまた,ニューズレター「スクリプト」誌も管理する。

1.5     4つの領域

TAのトレーニングを行う者は,4つある専門領域の中から一つを選択する。すなわち,サイコセラピー,カウンセリング,教育,組織という4つであるが,詳細については本ハンドブック第5節を参照されたい。可能な限り,このハンドブックに定める規制・基準は,各領域に等しく適用される。ただし,必要がある場合には,領域ごとに特別な規制を設けることがある。

1.6     契約の詳細

連絡先については,ITAAウェブサイト(www.itaaworld.org)を参照のこと。IBOCの公式通貨は米ドル建てとする。地区あるいは国別のTA組織の連絡先も,ウェブサイト参照のこと。